近所に、いつも通勤で使うちょっとした林道があります。2、3百メートルほどの短い道ですが、道の両脇に生い茂る木々のお陰で、様々な鳥や虫の声を聞くことができます。また、それらの木々が、寒い冬には風除けになってくれ、暑い夏の日差しから守ってくれ、少しの雨だったら傘をささずに通ることができ・・。とにかく駅にたどり着くまでの時間を楽しく、快適にさせてくれる一番気に入っている道です。
そんな私にとって大切な空間が、今日突然“無”になってしまいました。昨日まであったはずの木々が無残にも広範囲にもわたり切り倒されていたのです。倒された木々の先が一変に開け、車の往来が激しい道路や線路が丸見えで、暫し呆然。あたり一面の生々しい切り株を見るにつけ悲しい気持ちになりました。
木々がなくなったので、これから土の中から出てこようとしていた虫も育たないでしょう。むろん鳥も寄り付かなくなるでしょう。これから夏は強い日差しを浴び、冬は寒い風に吹かれながら無味乾燥な道を通ることになります。
2年前、都心に近いにもかかわらず、自然が沢山残されていたこの地、千葉県流山が気に入って移り住んだわけですが、その後開発が進み、彼方此方で道路整備の名の下、自然が破壊されています。
確かに車にとっては不便な町かもしれません。でも、もういいい加減、自然環境を人間に合わせるのではなく、人間が自然環境に合わせる時代になってもいいのではないでしょうか。
その日の晩、玄関先でカブトムシがひっくり返って、もがいていました。手に取るとキーキーと弱々しい鳴き声。住みかを奪われ舞い込んだのでしょうか。私には“鳴き声”ではなく“泣き声”に聞こえました。

